九月二十六日

   日本の常香磐は浅間山

         (嘉永俳諧ケイ)




   雲はれぬ浅間の山のあさましや
     人のこころをみてこそやまめ 古今集
 海抜二五四二メートル、わが国最高の三重式活火山だ。関東信越一帯を一望のもとに見おろすことが出来る。
 貝原益軒の『木曽路之記』に「軽井沢、沓掛、追分は、三宿共に浅間が嶽の腰に有りて其地尤高し。此三宿の間、南北半里許、東西二三里程、たいらなる広野有り、寒甚くて五穀生ぜず」とあるように、荒涼たる高原であつた。観光客で賑わう今はちがう。しかし、浅間山の噴煙は時を知らずになびいている。