九月六日

   木曽殿はいゝ陣太鼓もちたまひ

             (柳多留 四六)




 西筑摩郡日義村の徳音寺には木曽義仲、中原兼遠、巴御前の墓がある。義仲の菩提寺だが、ここの宝物陳列室に義仲の守り本尊と伝えられるカブト観音、巴御前愛用の経本など二十数点がある。徳音寺の鐘声は木曽八景の一に数えられている。
 巴は常に合戦に従い、悍馬に鞭打ち一騎当千の女傑。巴御前の名を聞いて恐れをなす敵方が多かつた。
 夜は夜で義仲との合戦に酬い、並みいる将兵を悩殺した。
 句、太鼓の紋は二つ巴。