八月三十日

   神に九頭龍里芋に八ツ頭

        (柳多留 五九)




 天照大御神が天の岩戸にお隠れになつたとき、力自慢の手力雄命がその岩戸を力いつぱい引きあげた。そのとき信濃国に落ちたのが上水内郡戸隠村戸隠山である。
 また、その響きで出来たのが九頭龍山に鎮座する九頭龍の神様だ。この山霊は雨乞い、風除け、霜除け、虫除け、賊除けなどに霊験があることで昔から有名である。
 この本体は蛇身だともいわれているが、何とかして正体を見届けようとこの山深く踏入つた人があつたが、途中美女に会いこれが化身であろうと迫つたところ、その吐く毒気にあてられたという。