八月二十四日

   むかい湯に来たりや寄りなと軽井沢

               (柳多留 三)




 上高地でも、アルピニストの基地だつた小梨平に、浴衣がけやハイヒールの軽装で散歩する人が多い。山に生きる男たちはこれをにがにがしげに見やり、さらに上の徳沢でキヤンプする。これと同じようなことが軽井沢にもある。つつましやかな、おつとりした暮しぶりで、避暑地としてここを愛した人たちはこのごろの肌合いの違う人種の横行には目をそむけたくなるらしい。この句、昔の軽井沢田舎つぽい脂粉の女のひとが呼びかけた。