2012-08-18 八月十八日 古川柳信濃めぐり365日 びつくりと兎飛び出す木賊刈 (柳多留 八六) 木賊の茎の乾燥したものは研磨用になる。小印刷物の誤字を訂正するとき、いまは電気仕掛のゴム消器械があるが、ひと頃この木賊を使つたものだ。 下伊那郡阿智村知里の園原は、むかし「木賊かる園原」と歌にも詠まれたほど、木賊が一面に生い茂つていた。 謡曲「木賊」はこうだ。若松という少年が僧に連れられて故郷の園原へ行くと、老父は木賊を刈つていてわが家へ伴い、そこで子を失つた悲しみを語り、子を想う酔狂に物狂わしく立つて舞う。少年は老翁を尋ねる父と知つて遂に親子の名乗りをなし、再会を喜ぶというのである。