八月十七日

   諏訪の湖夏わたるのは月ばかり

            (柳多留 七四)




 諏訪湖は初め長方形だつたが、南北に川の運んだ集積物がたまつて東西に長い形に変つてしまつた。海のない長野県にあることで、産業や文化にどれほど影響をもたらしたか、それは歴史がつづり風俗が語つてくれよう。季節もよし、行楽客が連日にぎわう。遊覧船は満員のお客を乗せて湖水を一周、晴れた日には富士山が遠望される。この句のように月のある諏訪湖もまた格別。