八月十三日

   檜には檜の振りの木曽踊

          (俳諧ケイ二七)




 木曽川のせせらぎにこだましながら格調の高い木曽節が聞えてくる。木曽谷の民謡からついに日本の民謡にまで成長したことを痛感する人が多い。それだけに古くから伝わる素朴な歌調を愛し、優雅な踊り振りが失われないように関心が持たれる。木曽踊保存会で、「相許し候事の木曽踊」が発行されるわけもそこにある。
 ナンチヤラホイは、経文の南無チヤラホーエより出たものだと言い、またナンジヤラホイとチをジに発音し、単なる掛声であると主張する説もある。
 木曽踊は義仲十代の孫信道が義仲の倶利伽羅峠の戦勝を記念して松明行列をし、義仲を葬る西筑摩群福島町の興禅寺の墓前でおどりをしたのがその起りだといわれている。