八月十一日

   おあしの旗が真田かと淀の方

            (柳多留 五五)





 忍術使いのベテランといえばすぐ猿飛佐助を思い出す。いわずと知れた真田幸村の十勇士のひとり。伝説によると信州森家の浪人鳶屋佐太夫の子、鳥居峠の山中に戸沢白雲斎から術をさずかり、十五才で幸村につかえ、猿飛佐助と改名、遊歴三年、諸国の軍情をさぐり、大いに忍術で諸大名を悩ませたのは軍談でおなじみ。幸村は紀州高野山にいたが豊臣秀頼の召しに応じ大阪城に入つた。
 この句、女さかしい代表みたいにいわれる淀君が、六文銭の真田の旗印をチラツと見るの図。