八月八日

   大阪で夏も信濃をこきつかひ

          (安永七年)



 この句だけ読むと、さしあたり大阪商人のがめつさが髣髴とする。世が世であればたちまち労働条件改善ののろしが上がりそうである。信州人は働き者で、農閑期は江戸に出かせぎに出たもの。
 つまりこの句、真田幸村の一党が大阪夏の陣で大いに奮戦したのをひやかし、「まあ信州人とは夏冬よく働く人種だ」といつたところ。古川柳は往々にしてナゾ解きの好材料を提供してくれる。
 これも以上のような事情をふまえて初めてわからせる。