八月三日


   小笠原では間に合はぬ俄雨

           (水天宮奉額祭)




 こう暑くては夕立がほしいなあと思つていたら、道でにわか雨にあつた。かくれる場所もない。エエままよ、といちもくさんにかけ出した。
 小笠原のシヤナリ、シヤナリではとても間に合いそうもない。この句のひやかしている小笠原流は弓馬の故実から始り、のち礼法にひろげたという。
 小笠原貞宗天皇の御前で射礼会のとき、的にうまく当ててほめられた。信濃国守護職を許され、伊那から松本に移り、長時の代に「小笠原礼書」を著した。