七月二十五日

   うち解けておとづれのない諏訪の夏

              (柳多留 八四)




 諏訪の宿の楽しみは情緒豊かな温泉と、湖でとれるワカサギ、シジミ、コイ、フナなどの淡水魚や貝類が郷土食として舌づつみを打たせることにある。静かな山の湖は海に恵まれない信州の美しい山々をいつそう引立てている。ここからは霧ケ峰高原や蓼の海、諏訪大社に遊ぶことが出来て、四季を通じ観光客でにぎわう。
 この句のような音とは異なり、交通機関が発達し、バスも汽車も諏訪湖をぐるりと回つて乗り降りが多い。
 夏バテ防止にウナギを食べるが、そのウナギも諏訪湖で獲れる。土用丑の日にはウナギを食べて夏の暑さに負けないために栄養価を大いに満喫しようというキヤツチフレーズをあみ出したのは、江戸の科学者平賀源内だつた。ウナギ売り出しの看板を頼まれたとき、「今日は丑の日」と添書したことから始まつたという。
 ウナギのオスは味がよくない。メスに限るという。顔がまるく愛嬌がありアメノウズメノミコトみたいだと形容する通人すらある。