七月十五日

   祭の子わらつて通る内のまへ

            (柳多留 一七)




 夏祭がさかんである。家の前を通るとき、それとなくにこにこしながら、祭を意識した自分の姿を見せたがる。
 大人だつてそんな気持になるのかも知れない。色とりどりの反物が目もまばゆく、町中を練り歩く連中のなかにも、きつとあるのだろう。それは別所の岳のぼりだ。
 小県郡塩田町の別所温泉では七月十五日の早朝から、反物一反を大のぼりにして、男神岳の頂上から駆け降る。そして村から町をのしあるくのである。
 獅子舞、ササラ踊りがこのなかに加わる。これは雨乞の祈願祭であつて、この大のぼりにした反物で着物を作つて着ると、疫病からのがれるといわれる。