七月八日

   是はと誉めて飯綱の気味わるし

           (俳諧ケイ一八)




 飯繩の法は狐を使う一種の妖術。
 鎌倉時代の初め天福元年(一二三三)水内の荻野城主伊藤忠綱が長野市芋井の飯繩山に上つて苦修練行して神力を得たのがその起源とされている。その後、子孫相継いで法力を伝えたという。
 飯繩神社はそお本祠であり、これを飯繩太郎と呼び、戸隠山を飯繩次郎、仙台の飯繩山を飯繩三郎、その他各地に分祠がひろまつたほど飯繩の信仰は根強かつた。
 この句、妖術の不思議さに初めは賞めてみたものの、何だか薄気味が悪いのである。