七月五日


   木曽川の水は巴に渦を巻き

          (柳多留 一三六)




 風雲児木曽義仲の生涯は華やかで、そして短かつた。智承四年(一一八〇)従兄の源頼朝が伊豆で平家追討の兵をあげると、これに呼応し木曽に軍勢を整えて大いに奮い、旭将軍木曽義仲の盛名は天下にあまねいていた。
 義仲には巴という愛人がいる。色白で髪が長くて美人。それほど大きいわけではないがひとたび戦場へ出ると荒馬を乗り回し男どもを顔色なからしめた魅力たつぷりな女傑。
 この句、信州には男まさりの女性が昔からもいた。