七月四日


   千曲川左右の岸にたけと杉

           (しげり柳)




 「信濃なるちくまの河のさざれ石も君し踏みてば玉と拾はむ」と万葉集にある。千曲川信濃川の支流で、甲武信ケ岳に源を発し、佐久平および小県盆地を北流して善光寺平に出で、川中島犀川に合する。越後の国境まで千曲川の名で呼ばれ、それを過ぎてから信濃川と名を変える。
 千曲川犀川の合流点が川中島だが、上杉と武田がしばしば交戦した。古来戦略上重要な地位を占め、特に上杉、武田の川中島合戦は最も有名だ。今からおよそ四百年むかしの物語である。