六月二十四日

   手と足の長い野郎を冬かかへ

           (柳多留 一六、一四五)




 諏訪市上桑原の足長神社と下桑原の手長神社には七百余年も昔の書にみえる古い由縁がある。土地の言伝えによると、諏訪明神の家来であつた足長、手長の二巨人がそれぞれ手長明神、足長明神としてまつられた。そして手長様は茶臼山頂から湖水まで腕をのばし、足長様は足長山のふもと底無沼を自由に歩き回り、ともども水中の貝類をとつてたべたという。
 この句、江戸へ冬奉公へ出た信濃者を江戸者が皮肉つたもので、つんつるてんの着物に手長、足長をにおわせたものである。