六月二十五日


   不二山へ大太(だいら)ぼつちは蹴つまづき

                (柳多留 三七)



 大太法師(だいらぼうし)にまつわる伝説は全国各地に分布している。富士山にけつまづくとは大仰だが、ことほど左様な巨人というわけである。諏訪地方ではこの大太法師がその昔、湖を埋めようと八ケ岳をくずし、もつこで運ぶ途中ヒモが切れ、いまの大泉山、小泉山の二つが出来たとされる。大太法師とは、日本霊異記の中の道場法師がなまつたものといわれるが、巨人伝説はこれ以前に出た「常陸風土記」の中にも見える。