六月二十二日

   熊坂は十六七にしめられる

           (柳多留 三八)




 落語に「熊坂」というのがある。金売吉次が牛若丸と連れ立つて奥州へ下る途中、美濃国赤坂の宿に泊つたとき、大盗の熊坂長範がこれを襲い大乱闘となつた。
 牛若丸は小太刀、長範は大薙刀、しかし牛若丸の手練の剣法で、さしもの長範も討ち取られ首は中天へはねられたが、不思議なことに血は出ず餡が出た「これは熊坂ではなく今坂だ」。今坂は今坂餅のことで、地口落ちである。熊坂長範は、上水内郡信濃町熊坂が出生地だという説がある。