六月十七日


   くぐるべき鳥居を跨ぐ木曽の旅

             (柳多留 一五七)




 鳥居峠木曽路の東玄関、奈良井と薮原の中間にある。当時、道はあくまでけわしい旧中仙道。いまはこの下を中央西線のトンネルが貫き、面影はしのべない。
 峠山頂、標高一、一九七メートル。むかし御嶽遥拝所の鳥居が置かれているところからこの名がある。明応年間、木曽義元が小笠原氏と一戦を交えた時、この峠から御嶽神社に戦勝を祈願したところ、霊夢によつて勝てたその礼にとこの鳥居を建てたとの言伝てがある。ここから眺望する御嶽、駒ケ岳は美しくまた壮厳である。