六月十五日


   長芋を惜しむと棒にされるとこ

           (柳多留 六七)




 きようは弘法大師誕生会にあたる。弘法大師の伝説のひとつに「石芋」がある。大師が諸国修行中、空腹を感じ芋を求めたとき土地の者が「芋は堅くてとても歯に合いません」といつて断つたため、以来その土地で作られる芋は石のように硬くなつたという。その地とは小県郡青木村。いまでも小県郡の七不思議のひとつに数えられる。「沓掛の石芋」がそれである。
 一説によれば大師は大子―初め聖徳太子を指していたのだが、いつとなく仏教の大師とまぎれてしまつたという。