六月五日


   月雪と仏は国の三ツ道具

           (柳多留 八九)




 信州の生んだ俳人一茶の句「信濃では月と仏とおらが蕎麦」はすでに定評があり、いまもなお観光PRに役立つている。が、これと同じようにこの古川柳はずばりと月・雪・仏を「三ツ道具」と言い切つている。
 月といえばきまつて田毎の月を思い出し、雪深い山国の風景は信州でなければピンとこなかつた。そして一生に一度は必らずお伊勢参りとわが善光寺詣りに出掛けることを何よりの念願とした。