六月四日

   薬師へめめめ戸隠へははははは

           (柳多留 一五)



 きようはムシ歯予防デー。痛いのはいやだ歯は丈夫に越したことはない。
 上水内郡の戸隠の神は昔から歯の病を癒す神様として信仰せられていた。だから歯を病む人はこの神の神供である梨を断ち物にして平癒を祈り、遠い江戸の人たちは両国橋の上などから遥か祈願し、供物の梨の実を水中に投げ入れたものである。
 落語「佃祭」のサゲに用いられ、身投げだろうと早合点、聞いて見ると虫歯が痛いから戸隠様を拝んでいるのだという。「だつて両方の袂にこんなに石が入つているぜ」「ナーニこれは納める梨なんだよ」