六月一日


   戸隠の社あかるし蕎麦の花

          (俳諧むつの花)




 きようは気象記念日。明治八年のきよう中央気象台が設置された。
 昔の人は自分たちの多年の経験から生み出した民間天気予報を考え出したものである。上水内郡戸隠山の西方の山中に岩下の里のあたり、据花川の辺に機織り石という奇石があるが、これが一種の探知機であつた。
 機織りのとき使う抒石、筬石、ちきり石などその形の似ているところから石に名付けられたらしく、この地方に雨が降ろうとするときなど、からから、からからと音のすることがある。この音を聞いて「近いうちに雨が降るに違いない」と判断する。どんなに天気続きのときでも、二日三日のうちに必ず雨が降ると言われた。