五月三十一日

   二十四の頭に宿る諏訪の神

          (柳多留 八八)




 出雲族建御名方命が高天ケ原族に追われて州羽海(すわのうみ)に逃れてのち諏訪大社上社の祭神となり、下社は海神族の同妃八坂刀売命を祭つてある。
 この句の二十四とは、甲斐の武田信玄の将卒である。信玄は死後、石棺にして諏訪湖に沈めるようあらかじめ言い含めておいたという。湖水の一番深い小坂観音の沖合だつた。諏訪大明神に信仰厚かつた信玄の意中を察することが出来る。