五月十八日

   白黒の馬で宇治川先手後手

            (柳多留 九四)




 松本市島立区北栗の正行寺址の境内に佐々木四郎高綱の墓がある。承久三年(一二二一)十月十五日入寂、六十二歳。
 明治三十九年五月、乃木希典将軍が祖先の遺霊としてこの墓を参詣し石燈籠を寄進、また殉死の後、近くに分骨を納めたという。
 高綱は源頼朝が兵を挙げたとき率先して馳せ参じこれに従い、石橋山の敗戦に頼朝を救つた。かの有名な宇治川の先陣争いには天下にその名を響かせたのである。
 戦が終つて出家、親鸞上人の要請で正行寺を創建、仏道の弘化によくつとめた。