2012-04-29 四月二十九日 古川柳信濃めぐり365日 船頭の綱わたりする丹波島 (柳多留 七三) 木曽路に源を発する奈良井川と梓川を合流した犀川が、もう少し下流すると千曲川に合わさるあたり、更級郡更北村に丹波島というところがある。 十辺舎一九の『続膝栗毛』九編には「それより、丹波島を打すぎ、犀川のわたしにいたる。こゝのわたし船は、両方の川岸より綱を引はり、それをつたひてわたるふねなり」 丹波島の渡である。この渡船場は川巾が十八丁もあり、流れが早いために手繰り渡しで旅人に珍しがられた。丹波島の渡を過ぎると遥かに善光寺の御堂の屋根が見えた。