四月二十八日


   祭から戻ると連れた子をくばり


            (柳多留 一)




 長野電鉄屋代駅から二つ目に雨の宮駅がある。いまは更埴市になつているが、ここの日吉神社は猊踊りといつて四月二十八日行われる。「信濃奇勝録」にその扮装が出ているくらい古くから伝わる踊りである。
 そもそも雨宮・清野両家の鎮守であり、背は近村のいくつかがこの祭りに参加したといわれ、右大臣・左大臣太刀持ち・鍬持ち・武者・団扇張り・獅子張りなど大勢が行列をつくつて町をねり、それぞれ芸能を演ずる。終りに獅子頭の紙を取つて川へ流すというのは神送りの習わしをふんでいる。これは練りの風習に属し、踊りの仕度に工夫をこらしたことがわかる。