四月二十七日


   木曽駒の荒れ福原の花が散り


           (新編柳多留)




 木曽馬は、からだは小さいが粗食でよく働き、柔順で女、子どもでも扱えるのが特徴。わが国の代表的な小型馬として知られる。現在、木曽谷には約千二百頭の木曽馬がいるが昔ながらの体型を保つ純粋種はメスが十五、六頭。オスはただの一頭という誠に心細いありさま。役肉用ともに牛に押され、このところ衰退の一途をたどるばかり。
 交配希望者はなく、エサ代はかさむとあつて、蓄殺廃馬の声があがるほどだ。
 しかし「日本在来馬で残つているのは木曽馬だけ」とあつて、各方面からの命乞いで廃馬案は思いとどまつた。
 木曽御嶽山麓の西筑摩郡開田村を中心に、木曽馬保存会、または木曽馬純粋種研究会を結成するという。
 動物学上の資料に直系の血を絶やさぬために、あらゆる手だてを講じようというわけ。観光資源としても木曽馬の保存計画はのぞましいが、時代の波はあまりにもつめたい。
 この句、平家を追つた木曽義仲が勇猛果敢大活躍した雄姿を木曽駒にたとえたもの。うたた命運のきびしさを思わす。