四月二十一日


   小笠原壬生狂言の元祖らし


             (群燕)




 京都壬生寺では毎年四月二十一日から五月十日まで本堂の舞台で無言劇を行なう。鰐口と太鼓、笛の伴奏によるいまのパントマイムである。円覚十万上人が融通念仏の功徳がだれにでもわかるように公開したのがこの狂言の始りとされるが、この句、無言のうちに取り行なわれる礼儀作法は、あるいは壬生狂言の元祖ではないかと皮肉つたものである。小笠原家は貞宗の時、松本の井川城に、長朝は林城に、貞慶は深志城に拠つた。