四月三日


   づくなしによけい見らるる梅の花


              (田舎樽)




 最近の傾向として言葉の生活が標準化してゆく。だが、それぞれ地域社会に持つ生れた言葉というものが、実際の場で生きつづける。それは方言である。
 自然発生的な或いは文化的な環境のうえでまた気質、体質からも考えられる。長野県は方言の分類上、興味深い位置を占めていて、戸隠と八ヶ岳を結ぶ線によつて二分されるといわれている。さらに地域による細分がもたらされ、地方の特色をよく形づくる。
 「づくなし」は信州方言だが、一般化され日常性のものとなつている。(怠けもの)
 「大ずくがあつて小ずくがない」などとも用いられる。