三月二十四日

   下駄の瓢箪真田紐でもちこたえ


             (柳多留 一一八)




 履物では靴やサンダルが何といつても便利だ。下駄は忘れられているみたいだが、それでも捨てがたい。
 江戸日本橋新和泉町に平四郎店という下駄屋があつた。これは変つた店で外法下駄という下駄をキヤツチフレーズ、売品の下駄に商標と同じヒヨウタンの刻印を打ち込んで宣伝した。これが大いに当つて客が押しかけた。
 豊臣家の千成ヒヨウタンの馬標に、真田幸村を取り合せた句だが、真田織を鼻緒とした外法下駄は品質良好といつたもの。豊臣家の衰運を支えていた真田家の苦衷も指す。