三月二十三日

   銭と見て散る辻講の三代記


            (文久




 江戸時代、大名が通りかかると道路にペタリと座つて頭を低くしていなければならなかつた。今から考えると全くバカバカしい。
 ところがこの大名行列に、道筋を変えさせるほど権威を持つたリクレーションがある。ほかでもない上田獅子踊である。
 天正年間に上田城が築かれたとき、地固めの祝いとして踊つたのが始まり。
 この句のように、真田三代続きの智恵者揃いを語る辻講談は大好評だつたが、聴講料をとられそうになると客は散つてゆく。