三月二十一日

   御いたづら一村芋に歯がたたず


             (柳多留 三二)





 小県地方の七不思議とは上田城の真田石、滝の宮の片目魚、山口の一つ火、虚空蔵山の無名木、沓掛の石芋、鴻の巣、弘法石の七つである。このうち青木村沓掛の小倉の湯、湯尻の石芋伝説はこの地方ばかりでなく各地にある。
 あるお百姓さんが野良で旅僧にイモを所望される。しかし、意地悪く断つたところ家に帰つてふかしたイモが堅くて歯が立たない。これはどうしたものかと不思議がり、かつ大いに困るが、実はこの旅僧こそ弘法大師であつたという伝説。
 きようは弘法大師忌。