三月二十日

   八大龍王九頭龍と兄弟か


           (柳多留 一二二)




 上水内郡戸隠村の戸隠の奥社社殿の傍の洞窟の中には、天力雄命が鎮座する前からこの地に居られた九頭龍神が地主神として祀られ今も毎朝この窟には白米を炊いて梨の実と共に神供せられているという。
 太古、青い鏡のような湖があり、ここに地主の神として龍神は先住していた。湖水はやがて干されて泥沼になり、それもいつしか消えた。
 手力雄命が天の岩戸を引き開け、その戸を投げたのが落ちて戸隠山となつたが、こころのふるさとと憧れ、地主神の出迎えを受けたという。これも一説である。