2012-03-16 三月十六日 古川柳信濃めぐり365日 消え残る雪に月毛の駒ケ岳 (柳多留 七八) 織田信長が天正十年(一五八二)の春、甲州の武田勝頼をほろぼしたとき、木曽駒ケ岳に神馬がすんでいることを聞いて興味をおぼえた。 「四百年にも及ぶ神馬だとて捕えられぬことはあるまい。今年は戦いのために出来ないが、来年は山狩りをしてこの馬を生捕ろうではないか」信長のこの言葉を聞いて諸将の意気が大いにあがつた。 しかし、その年の六月、本能寺の変があつて馬狩りは果たし得なかつた。駒ケ岳はいまも神秘な威容を誇つている。