二月二十二日

   似せ銭で三十六字真田出し

            (柳多留 三五)




 きようは聖徳太子忌。
 物騒な世の中で、ニセ千円札が横行している。新年の時事吟で「ニセ太子終りなき世のめでたさよ  佐藤守」と揶揄されたが、聖徳太子も苦々しく髭をしごくことだろう。
 本句のニセモノは真田幸村の身代りとなつて大阪冬の陣や夏の陣に活躍した影武者。いでたちを幸村に似せた六人で、それぞれ六文銭の旗さし物を使い、幸村の身代りになつてうまく敵の目をあざむき、味方を有利に導いた。今様ニセ札作りとは心意気が違う。
 この句、6×6イコール36。