一月二十三日


   手にのせて飯縄でしごく焼火箸

            (俳諧三国志




 「天狗の麦飯」をご存じであろうか。長野市芋井の飯縄山の頂上から少し下つた所に湿地帯がある。黄褐色の少し膠質の麦飯に似たもので、ちよつと見たところ栗飯のようでもあり、その味は麦飯変るところがない。
 これはいろ〱の微生物や細菌類の混成で包膜性バクテリヤを主成分としている。飯砂山の名はこれから起つたといわれる。
 飯縄山の頂と麓には諏訪神社の奥社と里宮とがあり、この宮は狐遣い、飯縄遣いといわれる狐を使つての魔阿不思議な呪術の修験法を伝えた。