一月十九日


諏訪の湖雪コン〱と渡り初め

            (柳多留 九四)



 諏訪湖の御神渡はまたもうひとつ、諏訪明神のお使いである狐の所為で、これあつてからはじめて人馬が氷上を往還出来るのであるという説もある。これは狐聴氷という詩句にこだわつた後人のひがごとであるともいう。
 御神渡の現象によつて土地の人たちは耕作の豊凶その他の吉凶をうらなう風習がある。昔は御神渡があると諏訪大社から時の幕府に注進したものであつて、この長い記録は気象変化のバロメーターに資することが出来、また御神渡の時期と方向の変化が太陽の黒点と密接な関係のあることが実証されている。