一月十四日

   友だちが来ると言つてく男の子

              (田舎樽)




 三九郎というのは松本平だけで、「どんど焼き」「左義長」「せいの神」ともいわれ県下各地に風習を残している。
 七才から十四、五才の子供たちは松過ぎになると家々を廻つて門松を集める。年上の子供が親方、親玉、大将になつて、年下の子供にいろいろ指図をする。小屋を作つてこれが三九郎仲間の生活の本拠となる。
 五メートル以上もあるような心柱を道祖神の近くに立て、その廻りに集めて来た藁やおしめや門松をしばりつける。
 一月十四日夜、子供たちが集まり、大将が火をつけると青竹を持ちよつてみんな原始的な三九郎の歌をうたつて気勢を挙げる。正月二日に書いた書初めをあげるが、それが高く天へ上がると手が上がる上達するといつて喜ぶ。風邪や虫歯にならないおまじないで、お団子を焼いて食べる。三九郎の燃え残りは春の味噌焚きに焚くと味噌の味がよくなるといつて持つて帰る。
 三九郎は正月の松送りと道祖神祭を兼ね備えた子供たちの年中行事の忘れられぬリクレーションである。