一月十三日

   雷電谷風なりひびく耳の底

             (柳の丈競)




 一月場所大相撲、ヤグラ太鼓は威勢よく鳴り渡る。寒気を吹つ飛ばす龍虎相博つ裸稼業の甲斐性は美しくまたきびしい。
 昔の相撲ですぐ頭に浮ぶのは雷電為右衛門で、小県郡東部町滋野の生れ。角界お国自慢に指おり数えられる名力士だ。講談に出る小野川・雷電の取組みは有名。小野川の苦手であつたことが知れる。
 あまり強いので年寄らは相談して雷電得意の最も強い三手を封じたので、初めて他の力士はこれと立合うことが出来たという。
 この句の谷風は横綱谷風梶之助。仙台侯御抱えの有名な人気力士だつた。