一月十一日

 

   せちがらい軍(いくさ)北条塩をとめ

            (柳多留 八四)




 川中島合戦で知られる通り越後の上杉謙信甲斐の武田信玄は好きライバルであつた。
 もともと甲斐では塩を東海地方から取り寄せていたところが駿河の今川氏は相模の北条と相謀つて戦略上、塩を送ることを禁じたので武田方では困つた。人民もこれを嘆いた。これを聞いて謙信は「信玄と争うのは弓矢であつて塩ではない」と言つて快く越後から塩を送らせた。永禄十二年(一五六九)一月十一日に深志城下に到着、それを記念して塩市とし、のち飴市となつていまもなお行われている。