一月九日


    蘇民見て鬼神子孫の門を除け

           (新編柳樽 三一)




 大昔、素盞鳴尊が備後の国靹の浦を通つたとき、巨且将来に宿泊を頼んだがことわられかえつて貧しい兄の蘇民将来が栗の餅をついて歓待してくれた。
 尊はこれを喜ばれ「今後悪疫流行のとき、お前の子孫であると称するものにはその厄を免れしめる」と約束して旅立たれた。これが蘇民将来のいわれである。
 上田市神川の国分寺は俗に八日堂と呼び、護符としてこの蘇民将来の六角塔形に刻んだものを買い求め、これを神棚に並べる。