一月六日


   川中へ車を出す越後勢

          (柳多留 一一五)



 上杉謙信の越後勢が得意の神得流車懸りの陣を構えて武田信玄甲州勢に対した。文禄四年(一五九五)九月、川中島合戦譚は血湧き肉躍る。
 この川中島合戦で農民が田畑を踏みあらされて生活に困つているのを見かねた神官がいた。殊勝にも賽銭を農民に貸し、その年に蒔きつける農作物の種を買う資金に当てた。そして翌年の祭礼のとき返すのだ。
 一月六日、更級郡川中島戸部伊勢社恒例の春祭りがそれで、?おたや祭?と呼ばれ早朝から参拝者で賑わう。
 「お賽銭」といつて一口十円から百円まで貸し出している。