一月四日

   土までは掘らぬ木曽路の松飾

            (柳多留 七八)




 雪深いので松飾りはちよつと挿しておけばこと足りる木曽路のお正月。
 門松といえばお正月の飾物と思われているが、むかしはお正月の神さまが降りてくる目じるしと考えられた。だから今でも飾るのは必ずしも松に限らず、サカナ、ソヨギ、ヤナギなどを使つているところがある。
 門松の幹には藁でロート型、あのおわんのように編んだ「オヤス」というものを結びつける。正月の神さまをもてなすという意味から「お養い」とも言われる。年男が飯や餅を入れて供える風習である。
 門松も、枝松といつて大きな松の枝を伐つたものと、若松といつて小さな松の木を根本から伐るものと二通りあるが、大抵は枝松が使われる。山で伐つた松は、からだ全体をぐるりつと縄を巻いて家へ持ち帰り、お松さまの腰をのばす、といつて縄を解いてやつたものだ。