八月

   末よかれしと譲る気淡かれや


   底抜けの明るさのみで終わらせぬ


   凛として凧合戦の夏を占め


   何食わぬ顔のほてりに蚊がためす


   戦こそイケマセン語尾はねた問い


   核廃絶ふたつ分かれて暑い最中


   世の動き名札たしかな揺れとなる


   好き好きに試行錯誤の毛臑なれ


   老熟の雫のうたの結びてな


   手応えとおぼしき闇に近づくか