五月

   十指みな味方稼ぎの貌を持つ


   雑学に遊ぶ年甲斐かかりあい


   老いのほころび憎からず丹念に


   ひたに落つ追われ者たる掌のしずく


   鄭重に新聞値上げの小咳払い


   年寄りに覚えめでたき眼鏡越し


   運の尽きやおら尻尾が笑い出す


   おぞましきかな醜さの攀じ登り


   反乱の誰に聞かそか明鴉


   そこにあるべき明け暮れの瞭かな