一月

     近什

   対決の顔ゆるぎなくラツシユアワー


   鳩の町働き蜂を見て抜けて


   ハモニカ横丁あすを知る身で相許し


   吉原のうらの夜道もうろ覚え


   駒形泥鰌雀色時しのび寄り


   うらぶれのみやこの星を當てもせで


   正楽の鋏のわざの粋が散り


   デパートの温度やはやは気負ひたち


   あさくさのすしを喰らつて人の屑


   習性にかくれ都会の今日の飯


   騒音に知識の頂点を磨き


   考へる虫のよそほひ流したり