八月二十八日

   声色にかなつんぼうの軽井沢

            (出典不明)




 落葉松の林を愛し、あるいは美しい山を恋い、じつくり人生の意義を見出す人がいるかと思えば、たまの休暇を十分に活用しようとしていささか不作法にもなりがちな観光客もいる。軽井沢別荘族などは顔をしかめて舌打ちをする。ごく少数の人の独占からじりじり俗化してゆく。俗化は受入れ側にとつて外貨獲得でうれしいが自然にはすまない気持。
 この句、昔の軽井沢の女、江戸の客がせつかく聞かせる芝居の声色にも全くヨワイ。