五月二十五日

   庭の松ねぢりまがつて御堂に入り

              (田舎樽)




 信州人の中にはちよいちよいへそ曲りがいるものだが、これは庭の松がねじり曲つていたため評判が高かつたお話。松本市中山の保福寺の庭にあるのがそれで、なかなか変つた松。いく枝にも四方にはい、のび切つたところでコブのようになつている。寛政二年(一七九〇)冷泉為泰卿が献詠して「重玉の松」と名づけた。松の寺ともいつてハイキングコースにもなつている。
 出典「田舎樽」は江戸時代に松本で出た句集。当時、ユーモア作家十返舎一九も保福寺を訪れ、見事な松に感心したとある。