五月七日


   貞光は褞袍脱げもした男

           (柳多留 九)




 唱歌「おおえやま」の第三章に
   けらいは、なだかき、四天王
   山ぶしすがたに、みをやつし
   けわしき山や、ふかき谷
   みちなきみちを、きりひらき
 そして良民を悩ましていた大江山酒呑童子という鬼の一味を退治する功名噺は勇ましい。四天王とは源頼光に仕えた渡辺綱、坂田公時、卜部季武、碓氷貞光の四人の勇士だ。
 そのひとり貞光は碓氷峠で出生したと伝えられ、初め盗賊となつて乱暴していたのを渡辺綱が見込んで頼光に推挙したのである。
 「褞袍脱げ」は、追剥強盗のこと。